ごあいさつ
20代の頃、高齢者福祉の世界に入り、施設介護の現場で約10年間働くなかで、本当にたくさんのお年寄りと出会い、介護や看取りの経験をさせていただきました。熱意を持った職員が懸命に介護をしても、バリアフリーの綺麗な環境の中でも「家に帰りたい」「迎えに来てほしい」と話される高齢者の方々が印象的でした。
また、多くの介護従事者や専門職との関わりの中で、介護観の違いや深浅を知るとともに、人の価値観、多様性を学びました。
そうした中で「人が自分らしく人生を終えることの難しさ」を実感し、
高齢となり身体が不自由になったり、認知症になったとしても、自分が生きてきた方法、大切にしてきた価値観、積み上げてきた塔を倒さないように、穏やかに終に向かっていくことができるようエスコートすることが介護実践であると考えました。
介護保険制度が始まり、国が施設介護から在宅介護へ舵取りをした際に、私が生まれ育ったこの地域で、高齢者の方々が住み慣れた自宅で暮らし続けられるお手伝いがしたいと思いました。
高齢者福祉を支える社会資源は、現場を担う介護職のひとりひとりだと考えます。
私たち自身が社会資源のひとつとなり、地域で生活される高齢者の方々、介護をされるご家族の方々の一助になれればと思います。
また現場に携わる介護職が、介護のしごとを楽しみ、評価される中で、個別のケースからソーシャルワークに昇華していく過程を共に感じられるよう、人材の育成、介護観のベクトル合わせを大切に考えております。
少子高齢化が進む未来を見据え、医療・介護制度や社会の価値観が変容するなかで、生活スタイルや家族構成、地域の生活力も変化していきます。
私たちの働きが、この地域のなかで、ひとつでも多くの幸せ、一人でも多くの幸せにつながることができれば幸いです。
株式会社 地域福祉推進会 代表取締役社長
一般社団法人 和顔の輪 代表理事
河村 政徳